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『方略は胸中にあり-ハリスと渡り合った男』

幕末日本にあって、欧米との貿易で国富を流出させず、富を得る仕組みを若き幕僚がいかに構築したかを追った。全権として日米通商条約交渉に当たった旗本、岩瀬忠震(いわせ ただなり)を主人公に、現代ビジネス社会にも通底する日本人の緻密な構想力を史料を駆使して生き生きと描く。明治維新では敗者となった幕府の視点からの「もう一つの幕末史」。佐是恒淳の歴史小説の世界をお楽しみください。​​         

 

2017年、文芸社より発刊。文庫版274頁。このサイトでは序章のみ公開し、ご希望の方にはご購読をお願いいたします。

設楽愿三郎(のちの岩瀬忠震ただなり)は千四百石中奥御番の三男として生まれる。本草学に情熱を傾ける学究肌の父に育てられ、愿三郎は知的で自由闊達な家風のなかで優秀な青年に成長する。父の死後、岩瀬家の養子となって忠震を名乗り、昌平黌に学んで老中阿部正弘に抜擢されてからは、困難な国際情勢を学びながら日本の針路を模索する。安政元年正月、ペリーから日米和親条約締結を迫られるなか、海防掛目付に任じられた忠震は、阿部の懐刀として一躍政治の面舞台に立たされる。忠震の目指すは、異国と貿易を行い国家の理財の根本を立てること、異国に暴慢の挙動あれば毅然と取り押さえる根本の力を普段から備えておくこと、そして五世界中一位の国柄と名君賢相の誉を明らかにする国に整えることだった。忠震はハリスと丁々発止の交渉を繰り広げ、譲るべきは譲り、大いにハリスの譲歩を勝ち取って日米修好通商条約案は成った。しかし、朝廷の賛同が得られないまま調印したことがきっかけとなって安政の大獄が始まり……。​

方略は胸中にあり_目次

序 章 日本へ・・・・よむ

第一章 天寵を負う・・

第二章 活眼爽快

第三章 横浜村

第四章 京の風、江戸の雲

終 章 鷗を友に

あとがき

​参考資料・・・・・・・よむ

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